朱鷺巷物語・四 5 / 6
  1. 1 朱鷺巷物語・序
  2. 2 朱鷺巷物語・一
  3. 3 朱鷺巷物語・二
  4. 4 朱鷺巷物語・三
  5. 5 朱鷺巷物語・四
  6. 6 朱鷺巷物語・五

朱鷺巷物語

朱鷺巷物語・四

稲妻 これは訳文です。語義はゲーム内テキストを優先してください

人の哀れなところは、身の程知らずであること。妖怪については、このような哀れな悩みに欠けている。––狸歴史家より

権兵衛の物語

権兵衛は今年で七十六歳、朱鷺町に住みつく唯一の凡人である。

彼は農民だった、武士と職人をやったこともある。

手の中にある匣は彼が作ったもので、滑らかな黒漆の面に鮮やかな真珠層が嵌っている。これは海祇島の漁師から学んだ技術である。

「ご苦労。」

目の前の老人は深々と頭を下げた。

凡人は妖怪に対し、そのような礼儀作法をすべきだと私も思っているが、それでも彼の憂鬱を少し憐れんだ。

権兵衛によると、噂とは違い、彼と森を歩き渡る雨女とは、親友だったようだ。

ただ、あの時、彼はまだ若かった。地元の乾ききった畑に恵みの雨をもたらすため、村の年寄りの話を聞き、森に行って雨女の助けを求めた。

あの時の雨婆婆はもう若くなかった、人間の世の変化もよく理解していた。だが、森の中の生き物は凡人より単純で素朴である。

その後、若かった権兵衛は言葉にならないほどの過ちを犯し、山と海の生き物を騙した。それでも彼は、自分の嘘は地元のためだと今日まで言い張った。

その後降った雨のおかげで、彼の村も久しぶりの豊作を迎えた。

それから、戻る顔のない権兵衛は森から離れ、都市で暮らすようになった。

「本当にすまない。」老いた凡人は頭を下げたが、木の匣を受け取らなかった。

彼の家から離れた、月がまだ黒雲に覆い隠されないうちに。

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