少女ヴェラの憂鬱
少女ヴェラの憂鬱・最終巻(バージョン1)
作者は創作マナーが悪いそうです。同じ物語を様々な文明の惑星で出版社に持ち込み、厳密には一稿多投にあたります。そのため宇宙のある帝国に追われているのかもしれません。 虞黄衣には、女主人の姉妹が拾ってきた宇宙漂流物と、結末に怒ったヒルダが自ら書いたもののうち、どちらがどの巻なのか分かりません。どちらも手書きの原稿だからです。
——世界の中心で愛を呼ぶ獣——
物語の舞台をデルポイにしたのは、もちろんこの最終巻のタイトルを回収するためです。
毎日が祝祭で、毎日が祭日です。
もう若くない少年少女の前にあるのは、果てしなく続く幸福な時間だけです。
エークは自宅でひとりリンゴジュースを飲んでいました。アンドロ=バシリスクス姫がドアをノックします。館の悪霊執事タールは、前回ドア=前歯を蹴破られた記憶を思い出しました。
結局「ひとりにしてくれ、誰も入れるな」と「前歯がまた痛む」のあいだで、タールは前者を選びます。
幸い今回、エークは責めませんでした。沈黙の少年——時間の欠片——は姫にリンゴジュースを注ぎます。
「どうするつもりですか?」エークが自ら他人に関心を示すのは珍しいことです。
「私はサッチの目を奪いました。新しい目を入れても、時間を戻しても——二度と別の人を愛することはできません。」姫はグラスを揺らしながら言います。「無数の時間の破片のなかに、私のための結末はひとつもないのでしょうか?」
「他の可能性の枝にいる自分から幸福を奪うんですか?」
「そうでしょうね。では、ヴィーラが老いて自分の幸福な一生を終えたあと、サッチを縛ってアンドロメダ帝国へ連れて帰ります。」
サッチは無数の強化改造を受け、無数の偉大な存在と契約を結びました。彼は——老いを演じるしかありません。晚年で青春を演じるしかないのです。青春は本当に二度と戻らないからです。
「その答えで、私の憂いは少し減りました。」
長い沈黙のあと、エークが続けます。「今回の操作で、時間の残響が増えました。宇宙のどこかにまた『私』が増えたかもしれません。彼と決闘し、一つに溶け合う必要があります。」
「ええ。」
二人はグラスを合わせ、姫は最後の一口を飲み干してドアを閉め、去っていきます。
エークは満月と星空の下を散歩し、丘からデルポイを見下ろします。突然眼鏡を外し、涙を拭い始めました。
「愛している。みんなを愛している!」
その時間の残響は、最大の音量で叫びます。時間のなかで響くその宣言は、宇宙と永遠にも届くほどでした。
しかしここはデルポイで、宇宙の中心ではなく普通の小さな町です。彼の叫びは夜風にさらわれ、幸福な灯火と、人間の青春の夜明けのなかへ、すぐに消えていきました。
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