蒲公英の海の狐・第10巻 10 / 11
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  10. 10 蒲公英の海の狐・第10巻
  11. 11 蒲公英の海の狐・第11巻

蒲公英の海の狐

蒲公英の海の狐・第10巻

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動的な別れが訪れた。子ギツネは母親、先生、そして蒲公英の海に向かって手を振りながら別れを告げている。 約束を果たす時が来た。童話『蒲公英の海の狐』、第10巻。

子狐は遠くへ向かいながら、何度も名残惜しそうに振り返り、俺達に手を振ってくれた。やがて、その背中はどんどん小さくなり、最終的には白い点となって、蒲公英の海の中へと消えていった。 子狐が見えなくなると、彼女は振り返り俺に近付いてきた。 一歩二歩と、近付いてくるにつれ、狐はどんどん大きくなる。 俺の前に来た時に、狐は人の姿になっていた。 背が高く、スラリとした長い首と白い肌を持った人だ。その瞳は湖のように、キラキラと輝いていた。まるで、太陽が木の葉の間から、水面を照らしているような光だった。 (本当に綺麗だな。俺が片思いしていた子によく似ている。名前はもう覚えてないが、この目は絶対に彼女と同じ目だ) 俺は思った。 術も狐が人になるのも、この輝く湖、宝石如く瞳とは比べ物にならない。俺達はどこまでも続く蒲公英の海の中で、何も言わずじっと立っていた。 やがて、沈黙に耐えられなくなった俺は口を開いた。 「それが俺に教えてくれる狐の術なのか?」 「そうです。長い間、本当にありがとうございました」 彼女は頭を下げ、俺にお辞儀をした。黒い長髪が、流れる水のように肩から落ちた。 子狐との別れは俺の心に穴を空けたが、これで変化の術を教えてもらえると思うと、胸が躍った。 術を習得すれば、俺は鳥になって高い空を飛べる。一体どこまで高く飛べるのだろうか?魚にだってなれる。そして、まだ行った事もないマスク礁まで泳いでいくのだ。 「ハハ、狩りにだって使えるぞ」俺は思った。「肉の入ってない鍋とはおさらばだ」 「では、そのままじっとしていてください」 彼女は俺の周りをクルクルと歩く。一周する度に、彼女の姿はどんどん大きくなっていった。 いや、それだけではない。周りの蒲公英もどんどん伸びている。最初は足元までしか届いていない蒲公英が、今は腰の位置までに来ている。最後は天にそびえる大木のようになった。 何かがおかしいと気付いた時には、彼女は既に巨人になっていた。

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